予鈴が鳴り、私達は立ち上がった。


教室の扉をひくと、明らかに様子が違うのがわかった。


廊下にまで響いていたさっきまでの笑い声が、私達が立ち入った事によって静まりかえる。


教室を見渡さなくても、彼らの視線が私達に向けられている事は感じられた。


私はうつむいて自分の席まで向かった。


黙って振り返ると、マリエは自分の机を前に硬直していた。


「マリエ?」


そう言いながら彼女の机に目を向けると、そこにはエリやゆき、そして彼女の仲間達の物であろうパンの袋や空き缶が乱暴に置かれており、机には油性マジックで「ゴミ箱」と書かれていた。


再びマリエに視線を戻すと彼女は目に涙をため、かばんを掴み教室を飛び出した。


「マリエ!」


私はとにかく彼女の後を追った。


背後で甲高い笑い声が聞こえた。