君と描いた日常-負け組女子高生

じめじめとした廊下を歩き女子便所に入ると、幸い誰もいなかった。


マリエは鏡の前に立つと、ポーチからY字のつまようじ程の棒とのりを取り出した。

アイプチだ。


ひとえまぶたをのりでくっつけて二重にしてしまうという、一重がお悩みの乙女にとっては魔法のアイテムだ。


無論、彼女のまぶたにはいつも乾いたのりが浮いていて偽二重なのは一目瞭然なのだが。


マリエはまぶたにべったりと白いのりを塗りたくると、棒を引っ掛けた。


目も口も半開きで、みっともない表情だ。

私はその様子を鏡越しに見つめた。