不良な君は私を守る


〖龍が笑ってる…〗

「ぁ?…」

《ほんとだ。俺のおかげだなっ!》
海欄は自分の腕を龍の首に絡ませて二人でにこにこ笑ってた

〖龍が笑うなんて珍しいんだよ〗
夏樹ちゃんは二人に聞こえないようにこそこそと話し始めた

『そうなの?』
私が知ってる龍もあんまり笑わない人だった。この世界でも笑わないんだ。

〖でもね、昔は笑ったんだよ。あの日からかな…。〗

あの日って…。
そう考えてみると私ってこの世界の龍のことあまり知らないんだ。

『あの日って…なに?』

〖これは、口が裂けても言えないんだ。ごめんね。でもね、暁ちゃんにならしばらくしたら話してくれるって私は思うよ。言ってくれるまで待ってた方がいいよ。〗