「座ってて」
「はい........」
こんなに広いのにどのイスに座ればいいんだろう。
私は黒いソファーに小さく、ちょこん、っと座った。
すると、黒い扉が開いた。
「お前、誰だ?」
この人、怖い........。顔がいかついよ。
私、ピンチなんですけど........。
「あ、レン。この子に手出さないでよ?怪我してるんだから」
「だから誰だよ」
「あ、あのぉ~、私、怪我なんて....」
「ん?怪我してるよ。足だして」
怪我なんてしてないのに....。
そう思いながら、ゆっくり足を出した。
「ほら、ここ。さっきぶつかったときに、すりむいたちゃったんだよ」
「え....。あ、このくらいなら大丈夫ですから」
この人すごい....。あの暗くて細い道で怪我してるのに気づくなんて........。


