俺はといえば、時々結音の手をとり「今の話し聞いたか? おもしろいだろ?」と、直接結音に聞いてみる。


そうすると、結音は少し口角を上げて笑ってくれているような気がするんだ。


結音を囲んでの談笑は1時間ほど続いた。


気が付けば外は暗くなり始めていて、来た時の西日は弱まっている。


俺は立ち上がり、分厚いカーテンを閉めた。


「じゃぁ、あたしたちそろそろ帰るね」


俺の動きを合図にしたように美奈が言い、立ち上がる。


「あぁ。サンキュな」


俺は窓辺で振り返り美奈と諒を見る。


諒は結音の耳に口を近づけ「また、来るから」と、言った。


その目は友情以上の熱い何かを含んでいるようにも見える。