「結音元気か?」


「フルーツ持ってきたよ」


2人が元気よく結音に声をかける。


その表情には笑顔が浮かんでいる。


辛くても、2人は結音の前では決して涙を見せないでいた。


俺たちは結音を囲むようにして椅子を移動し、そこに座った。


諒は学校での失敗談を面白おかしく話し、美奈は結音のいない教室は暇で仕方がないと話す。


いつも学校でしているような会話を、結音でもわかるように丁寧に丁寧に話していく。


きっと結音には聞こえている。


結音が目が覚めた時、何もわからない状態じゃかわいそうだ。


そんな、2人の気持ちが痛いほどに伝わってくる。