「ごめん、嘘。ただのシャーペン」


そう言うと美奈はシャープペンシルを観察することをやめて、チラリと俺を睨んできた。


真に受けていたらしい。


「ソックスのお礼な」


「あぁ。そんなのいいのに」


そう言いながらも美奈の顔には笑みが浮かぶ。


「でもありがとう。あたしの宝物」


そう言い、キュッと胸の前で抱きしめるようにシャープペンシルを持つ。


ただのシャープペンシルなのに、変なやつだな。


「さ、そろった事だし行こうか」


諒が立ちあがり、ようやく病院へと向かう事になったのだった。