彼女人形(ホラー)‐彼氏人形続編‐

「あたしを殺そうとした悪い人」


薫子が氷のように冷たい声でつぶやく。


目はまっすぐに諒を捕らえている。


「諒……諒、逃げろ!」


俺は声をかけるだけで精いっぱいだった。


諒の手を掴み一緒に走ることができたらどれだけよかっただろう。


けれど俺は恐怖で一歩も動ける状態ではなくなっていたのだ。


「え? え? なんだよ……どうなってるんだ?」


諒は混乱していた。


先の千切れた腕を振り回し、どうして先がないのかいまだに理解できていない。


あまり動き回るので傷口からは血がどんどん流れていく。


「動くな! 動くな諒!」


それ以上出血すると危険だ。


危害を加えられなくても出血多量で命を失ってしまう。