☆☆☆

薫子の様子はご機嫌だった。


時々鼻歌をうたいながら俺の後ろをついて歩く。


たまにスキップをしているような足音にもなった。


「機嫌がいいな」


俺が聞くと、薫子はうなづく。


「だって燈里が誘ってくれたから」


崩れた顔でそう言い、ニコッと笑う。


「……薫子には感謝しているよ。俺の日常を彩ってくれた」


公園が近なり、俺は呟くように言った。


薫子は聞いているのかいないのか、わからない。


「楽しいままなら、よかったのにな」


俺の右足が公園に入る。


同時に視線を植木の方へ向ける。


茂みの中に小さな明かりが見える。