いつものようにベッドに横になる結音の姿が、月明かりに照らされて見えた。


今日は結音の両親は泊まっていないようで、簡易ベッドには誰の姿もなかった。


俺は静かに結音に近づく。


白くて細い首筋にそっと触れる。


そこから感じる確かな脈拍。


途中で乱れることなく、規則正しく結音の体は脈打っている。


どこも悪いところなんてないように見える。


俺はそっと結音の唇に自分の唇を近づけた。


その瞬間、諒の顔が浮かんできて躊躇する。


でも、これで最後かもしれないと思うと諒の顔はすぐに消えてしまった。


そのまま近づき、そっと口づけをする。


薫子としたような大人びたキスではない。


ただ、触れるだけのキス。