「話を戻そうか。


山下陽子が出てくるタイミングだけれど、俺が家に戻った時、俺に危害を加えそうになった時と、様々なんだ。


共通点はわからない」


と、俺は首を左右にふる。


「いや、待てよ。あるじゃないか、共通点が!」


諒が大きな声で言う。


他に客はいないが、代わりに店員が何事かとこちらを見てきた。


「落着けよ諒。なんだよ共通点って」


「山下陽子が出てくるのは、いつもお前が一緒にいる時じゃないか!」


声のトーンを落としつつも、諒は興奮した様子で言った。


「あ……」


そうだ。


そうじゃないか。


どうしてそれに気が付かなかったんだろう。