「一度目はいつもの公園で。あの公園で山下陽子の友人が殺されているみたいなんだ」


「そうなのか?」


俺の言葉に諒は目を丸くする。


「覚えてないか? 少し前にミサという女の子が殺されたニュース」


そう言うと、諒は少し考えた後「あっ!」と、思い出したように声をあげた。


「あれか! 新聞やニュースでも取り上げられたけれど、あっという間にマスコミから消えて行った事件だったな。


あれは通り魔だったんだろ?」


「いや、違う。あれは彼氏人形の仕業だったんだ」


俺が言うと、諒は目を丸くした。


「そうなのか?」


「あぁ。山下陽子とミサという子は彼氏人形を持っていた。そして殺されたんだ」


「待てよ。その両方が通り魔事件として処理されたりしてないよな?」


諒が身を乗り出して聞いてくる。


「……わからない。でも、その可能性は十分にあると思う」


俺はそう答えた。