嬉しそうな顔をしているが、頬の半分が凹んだ状態なので気味が悪い。


「あぁ、ただいま」


「殺してきてくれたのね!?」


そういいながら俺に抱きつき、ポケットの中のカッターナイフを取り出す。


その先には俺が手首と手のひらを傷つけた時の血がついている。


それを見て、薫子は勘違いをしてくれた。


俺が結音を殺したと思いこんだのだ。


「ありがとう、燈里! 大好き!」


飛び跳ねんばかりに喜ぶ薫子。


「あぁ。外へ行くぞ」


俺は薫子の手をとり、部屋を出る。


「どこへ行くの?」


「お祝いだ」


適当に返事をする。