「諒、お前結音の事が好きなんだろ? 俺よりもずっと結音に相応しいんじゃないか?」


「……なに言ってんだよ……」


俺の言葉に諒は目を丸くし、信じられないといった様子で肩で呼吸を繰り返す。


「今更隠したって遅いんだよ! お前、俺に黙って結音のお見舞いに何度も行ってただろうが!」


俺は寮を見上げたままそう怒鳴った。


諒は一瞬言葉を失ったが、すぐに「あぁ、そうだよ」と、答えた。


「開き直る気か」


「開き直るもなにも、俺は何も悪いことはしてない。お前に許可を取らなきゃ結音に会っちゃいけないのかよ」


「なんで今まで俺に言わなかったんだ」


「どうしてお前に言う必要があるんだよ。お前が結音の彼氏だからか? ろくでなしのクズのくせに!」


諒が拳を振り上げる。


そのまま俺の顔のすぐ横の床を殴りつけた。


ゴッと鈍い音が耳に届いた。