「なんで別れるのか言ってみろよ」


諒の声は怒りで震えている。


このままでは殴られるかもしれない。


そう思うが、覚悟はできていた。


「薫子が……」


それだけ言った俺の頬を諒の拳が打ち付けた。


ゴッと頬骨が鳴る音がして、俺の体は後方へ吹き飛んだ。


そのままホコリを巻き上げながら倒れ込む。


「やっぱり人形か! あの人形のために結音と別れたのかよ!」


諒が怒鳴りながら俺の上に馬乗りになる。


俺は諒を見上げて呟いた。


「仕方なかったんだよ」


「仕方ない……?」