「昨日結音のお母さんから聞いた」


旧校舎へついて立ち止まるなり、諒はそう言った。


あぁ。


お前は昨日も1人で結音のお見舞いに行ったのか。


そして仲良くなった結音の母親から、昨日俺がした事を根掘り葉掘り聞いたワケか。


俺はそれだけでも十分に怒りを覚えていた。


だけど、今はそれを顔に出さず胸の奥に押し込める。


「なにを?」


「結音に別れを言いに来たって」


やっぱり俺の想像通りか。


「だから何だよ」


俺は諒を睨みつけてそう言った。


諒はみるみる内に顔が真っ赤になって行く。


俺の態度に怒り心頭しているようだ。