☆☆☆

翌日。


俺はいつも通り家を出た。


薫子は朝から不機嫌そうな顔をしていたが、俺は何も言わなかった。


教室に入ると真っ先に美奈の姿が視界に入った。


昨日まで空席だった机に美奈が座っている。


「美奈。もう大丈夫なのか?」


俺は病室でのキスを思い出して一瞬たじろいたが、そう声をかけた。


「うん。この通りよ」


そう言い、力コブを作って見せる。


それはいつも通りの美奈だったけれど、俺に気持ちを打ち明けた事で何かが少し変化している気がする。


「ごめんな、俺のせいで……」