薫子は危険だ。


離れた方がいい。


頭の中では理解できている。


でも、今だけ。


少しだけ。


その思いで俺は薫子を抱きしめていた。


みんな裏切り者だった。


薫子が最終的に俺を裏切って殺したとしても、それはみんなと同じ事じゃないのか?


友達以外の感情を持ちながら、何も持っていないようにふるまう。


薫子とあいつら、一体なにが違うっていうんだ?


「俺は……薫子だけいればいい」


思わずそう呟いていた。


一時の優しさを求めて、甘えてしまった。