彼女人形(ホラー)‐彼氏人形続編‐

そういう噂はまだ耳にしたことがないけれど、俺たちが知らないだけかもしれない。


俺の足はもう一歩も前に進まなかった。


背中に汗が流れ始め、ゆっくりと2人の方へ体の向きを変える。


「ごめん……やっぱり、やめよう……」


微かに声が震えているのが自分でも情けなかった。


「今更何言ってるの?」


諒の後ろからついてきていた美奈が怪訝そうな表情を浮かべる。


「おい、まさかまだ人形をかばうつもりか?」


諒は怒りをあらわにしている。


その態度から、諒は薫子を完全に停止させるつもりだということが読み取れた。


それなら、なおさら薫子に合わせるワケにはいかなかった。


自分に敵意をむき出しにしている人間を前にして、人形は一体どう動くのだろう?


考えれば考えるほど、諒と美奈をこれ以上前へ進ませるワケにはいかなかった。


「違う。そうじゃない」


「何が違うんだよ」


諒が俺をにらんでくる。