「学校に行っていたんだよ。いつも行ってるからわかるだろ?」


「本当にそうなの? 本当は病院の女の子に会っていたんじゃないの?」


薫子の言葉に俺は一瞬頭が真っ白になる。


なに言ってるんだ?


こいつは。


俺は結音に会いたかった。


会いたかったけれど、そのまま帰って来たんじゃないか。


お前の事が気がかりで、帰ってきたんじゃないか。


そんな思いがあふれてくる。


それは身勝手だと知りつつ、怒りにも似た感情だった。


また結音と別れろとでも言うんじゃないか。


そんな事言ってみろ、ただじゃすまさないぞ。


言葉には出さず心の中でそう考え身構える。