そう思い、歩調はどんどん速くなる。


隣の薫子は小走りでないと追いつけないくらいにだ。


脳裏に国匡さんの笑顔が浮かんだ。


優しげで大人な笑顔。


店に入ると、まるで俺が来る事を知っていたかのように待ち構えている国匡さん。


今日もきっと、あのドアを開けると待っていてくれるんだろう。


そしてこう声をかけてくる。


『やぁ燈里君。今日はどうしたんだい?』


ショップの中にはコーヒーの香りが漂っていることだろう。


それらを思い出すと一刻も早く国匡さんに会いたいという感情が湧いてくる。