「薫子、どこか悪いのか?」


そう聞いてみると、薫子は「大丈夫よ」と、返事をする。


本当に大丈夫だろうか?


そもそも人形は自分の故障を自分で気づくことができるんだろうか?


彼女人形の説明書なんてもらっていなくて、俺はただ不安にかられる。


国匡さんに見せてみようか?


きっと、それが一番早い解決方法だ。


「薫子?」


うつむく薫子を覗き込み、声をかける。


その目には涙が浮かんでいるのがわかった。


「泣いているのか?」


薫子の涙に驚く俺。


こういう時、どうすればいいのかわからない。


かける言葉がみつからなくて、黙り込んでしまう。


なにかあったのか理由を聞くべきなのかもしれない。


でも、それは聞いていいものかどうかもわからなかった。