あの時の感動と驚きととまどいは、今でも鮮明に思い出すことができる。


こんな身近な場所にあるなんて思ってもいなかった。


『ドールハウス』を見つけるまで何年、何十年かかると思っていた。


いや、永遠に見つけられない可能性だって視野に入れていた。


それが、たった一か月という短さで見つかったのだ。


信じられなかった。


誰かのいたずらかとも思った。


だけど違った。


そのショップは本物だったんだ。


人形について書かれているサイトで以前読んだ記事を思い出していた。


《ショップは神出鬼没だ。


いつどこに作られるかわからない。


けれど、人形と必要としている人の近くにできることが多い。


そしてその人が人形を手にすると、嘘のように消えてなくなってしまう》