奇病患者特別治療施設

仕事を始めてから初めての休日がきた。

まぁ学校に入ってから初めての休日と言うわけでもある。



案の定遊びに誘われたがそんな暇は無い、今すぐ病院に行かなければ。



今日の出勤は昼食後の13:00までだ。急がなければ、バスに乗り遅れる。






バスの振動には慣れた。


心地良いし、何より休日は静かだ。


眠る前について欲しい。

『次はー』

アナウンスが終わる前にボタンを押した。
ここがどこかということがわかったのかもしれない。





約10分歩いてやっと着いた。

次からタクシーで行こうか…いや、高いからやめよう。


門扉に手をかけゆっくり押すと、鈍い音を立てながら高い塀に囲まれた敷地が見渡せる。


相変わらず紅葉の部屋からはカーテンがなびいているのが見える。


なんとなく、紅葉の部屋に真っ先に向かってみた。







行って後悔したかもしれない。


でもいずれ…知る事実だから、





「ねぇ教えてよ!!紅葉、隼人兄さんは死ぬの?」






思わず後ずさり。



ゆっくり方向を変え、中庭にダッシュした。












「どうしたんですか!?匠さん!」


駆けつけてくれたのは隼人だった。



「大丈夫だ、心配はいらない。」

「なら良かったです。どうしたんですか?あんな猛スピードで庭に来て…」

「いや、なんでもないんだ。本当すまなかった!」

「いえ、それは良いんです。なんでもないなら、そういうことにしときますよ」

「感謝する。」



俺は黙って階段を上がり始めた。



「匠さん。」

「なんだ?」

「匠さんは、死ぬの怖いですか?」

「そりゃ、怖いさ。殺される運命なら尚更怖い。」

「人はいつか死が訪れます。匠さんは、怖くないんですか。」

「怖いよ。例えそれが遠い話でも、これからすぐのことでも、怖いもんは怖い」

「じゃあ何故そんなに普通でいられるんですか?」

「俺は全然フツーじゃないけど、強いて言うなら…やりたいことがあるから。」

「やりたいこと、とは?」

「それはナイショだ。」

「わかりました。お引き留めしてすいません。」

「良いさ、じゃあな。」

「はい。また後で。」

「おう。」










死を恐れている…か。