奇病患者特別治療施設

バスの振動が静かな車内に響いている。


窓の外は真っ暗だ。


まぁ一人暮らしだから親に叱られるとかも心配する必要はない。

よって、ゆっくり帰っても問題無いわけだ。


まぁ、学校に遅れないように早く寝なければならないのは当然なのだが。



「ホントに!?」

「聞こえませんでしたか。」

「いいえ!え、ホントにやってくれるの!?」

「言いましたよね。やります、院長。気が変わりました。俺にしかできないことがあるんでしょ?」

「良かった…これできっとあの子も…」

「えぇ、きっとなんとかなるんじゃないですか。なんとかしてみせますし。」

「ありがとう、射手島くん!じゃあこれから放課後は一緒に病院にきてくれる?」

「はい。休日出勤とかもありますか?」

「えぇ、勿論。実はこの病院経済的にも少し厳しくて…、それに奇病患者は全国にいるわ。その患者を集めるためにもアプローチが必要なの。」

「様々な場所にアプローチをかけて宣伝しながら治療ですか。」

「貴方ならできるわ、射手島くん。」

「まぁ、やれるだけやります。ただし、






卒業までの2年間だけです。」




「わかったわ。」









全員の治療を終わらせる。








新たな俺の使命、か。





「やるっきゃねーだろ。」



車内アナウンスが流れ、俺は冷たくなったボタンに手を伸ばした。