コツコツと、ホテルのロビーのような風貌のエントランスを抜けて、2階に向かう階段を登る。


「驚いて、声が出ないかもしれないけれど、我慢してね。」


「わかりました。」



二階堂さんはある一室の前で止まった。


「第一の患者の部屋よ。ここの患者さんは2年程前に入院されたわ。」

「そうですか。入りましょう。二階堂さん。」

「わかったわ。」


コンコン


静かな病院にノックの音が響く。



「二階堂です。入りますよ。」


カラカラと乾いた音を立てて、引き戸を開いた。

そこには読書をしている少女が、ベッドに腰掛けていた。




「紹介するわ、彼女は梓ちゃん。梓ちゃん、彼は次の院長の」

「射手島匠」

「そうよ、ほら、射手島くん!挨拶!」

「あ、はい。射手島匠です。よろしく。」

「梓です。」

「読書の邪魔してごめんね、じゃあまた!」




俺の名前を当てた。



「二階堂さん、彼女、一見普通の少女ですが。何故俺の名前を当てれたんですか。」

「彼女は、未来を予知する目を持っているの。」

「特異症状ですか。」

「うなじに、もう一つの目があるの。」

「なるほど、だから彼女は髪を伸ばしているんですね。」

「まぁ、それも関係すると思うわ。次に行きましょう!」







「ここの患者さんは…最近こられたわ。まだ、8歳よ。」

「随分幼いですね。さっきの少女は16歳くらいに見えたのに…」

「発症が早かったのよ…、二階堂です。入りますよ。」






病室には、お絵描きをしている、まだ幼い少年がいた。


「百合奈さん、誰コイツ」

「彼は次の院長の射手島匠さん。射手島くん、この子は蓮君。」

「射手島匠です。よろしく。」

「ふーん、よろしく。」






「なんだか好印象は持たれて無いようです」

「ムリ…ないです。今までの院長は、皆さんの病気を見て怖気付いて逃げたから。」

「ちなみに彼の病気は?」

「体の1部が突然植物に変化する病気よ。」

「そうですか。ちなみにこの病院には何人の患者がいるんですか?」

「ザッと10人弱ね。」

「結構な数ですね。」

「皆違う病気よ。」

「そう…ですか。」



「次の部屋に着いたわよ。」