バスの振動はなかなか良いものだ。


前の高校は電車だったから死ぬほど窮屈だったが、この高校は良い。

なにしろバスだからな。

『次は、琴吹。琴吹。下車する方は、お手元のボタンを押してください。』

「ここよ。」


「え、山じゃないすか。」

「歩くのよ!10分程度でつくから!」

「マジすか…」

「我慢してよ!山奥なんだから!」

「了解です…」




「あ、あのね、話しとくことがあるの。」

「何ですか。」

「多分、信じれないと思うけど、これは見ればわかるから。」

「わかりました。話してください。」

「貴方が院長を務める病院はね、」

「決まってるんですか。」

「奇病患者が入院して、治療に集中するための病院なのよ。」

「はい?」

「だから、奇病患者がくる病院なの。」

「それはわかりました。奇病って?なんですか?」

「奇病と言っても…難病ってわけじゃないの。ある意味そうだけど。」

「はぁ、そうですか。」

「この病院の患者は、現実にはあり得ないような症状の病気を患っている。」

「そんな病気があるんですか。」

「えぇ、でもね…この病気は治らないのが殆どよ。」

「治療方法は?」

「…治療方法は、わからないわ。」

「よく治せと言いましたね。」

「特別なだけなの!治療方法は、病気によって異なるわ。感染する確率は無いから安心して。」

「そりゃ良かった。」

「そんなこんなしてたら着いたわね。」






「ここよ。」





その病院は、レンガを積み上げて作ったようで、その周りをたくさんのツタが覆っている…周りは芝と綺麗な花で囲まれている。
森の木々の木漏れ日で照らされた病院は、古びた小汚い館なのに、何故か綺麗に見えた。




「行きましょう。」