今日は1日、この部屋にいなきゃならないらしい。


誕生日パーティーの用意をするから、見られたくないんだってさ。

沙梨に言われたらさすがに出ていけない、中庭でもダメなのか。

仕方なく窓の外を眺める、

「あ、」

百合奈さんと匠さんがこっちに歩いてきていた。

何故か俺は衝動的に窓を閉めてしまった。
暖かくなってきたこの季節に閉めっぱなしは10分たつとさすがにキツくなってくる。

玄関のドアが開いた音を確認して、窓を網戸にする。

廊下が妙にうるさい…


ガラッとドアが開いた。

「隼人くん、お誕生日おめでとう!パーティーの準備ができてるみたいよ?行きましょう。」

「はい、百合奈さん。」

食堂に3人で向かう。

もうこんなに声が聞こえてる、クラッカー、見えてるし。

「あ、隼人兄さんきた!」

「隼人兄さんきたから皆、クラッカー持って!せーの!」

「兄さん、お誕生日おめでとう!!!」

「ありがとう!みんな!」



沙梨と梓、恵、竜司の表情だけが硬い。

相変わらず紅葉はいない。




「さあみんな!今日は百合奈が頑張っておっきなケーキ作ったわよ!一緒に運んでくれる人!」

「はぁーい!!」

「はぁいありがと!でもその前にご飯だね!」


他愛のない、みんなが純粋にパーティーを楽しんでるのに…俺だけ、浮いてる。

耳元でポスッと音がなり、肩に重みがかかる。

「今ははっちゃけろ。みんながお前を勇気付けてる、その気持ちに答えるんだ。」

「…はい!」


やっぱ匠さんは、かっこいい。