亮真が竜希に送らせたメールには亮真が隠し撮りした写真を添付し、この男に見覚えはあるかという内容だった。数分後、竜希からメールが返ってきた。その内容に優真は思わず声を上げていた。この前拾った財布の免許証の顔写真の人だ、メールにはそう書いてあった。
「嘘、お父さんじゃないの?」
柚子も驚きを隠せないでいた。
「多分中身の免許証とかをすり替えたんだ……こうすれば交番に届けられた財布と現金は自分のものになる」
免許証等の個人情報が記されたもの全てに自分の顔写真を貼る。その方法を使えば全てのことに納得がいった。
「交番に届けられたとき、自分の顔写真付きの免許証があれば疑う警官もいないだろうな。手間がかかるが、確実に利益が手に入れられる」
「問題はどうやって阻止するかだ。‥と言ってももう回収されただろうけどな。姿だって眩ましてるはずだ」
「諦めるしかないかぁ‥‥」
柚子は項垂れて呟いた。優真は今さらながら記憶のつっかえが取れた気分でいた。どこかで見たことある顔、たいして見もしなかった免許証の顔写真だったとは。持ち主の顔写真に違いないという今回ばかりの勘違いから生まれた盲点だった。そして、あの憎き男と対峙する方法も一つだけ脳裏に浮かんでいた。
「二人とも、取られた財布を非合法な手段で取り戻すのは‥‥」
「犯罪だろ」「犯罪だよね」
「やっぱりか……じゃあ諦めるか」
わざとらしく言った優真に二人が寄ってきた、
「なに、取り返せるの?」
「ああ、賭けと犯罪に近いけどな」