「・・・・・・あぁ、アンタか。何か惡ぃな。」
自分が謝るとこではないとは思いながらも何故かナキの口から謝罪の言葉が漏れた。
「いえ、そんな・・・・・・。本当にいらっしゃらなかったんですね。」
少女は小さく首を振ると遠慮気味に言った。
何だ、これ普通の事だったのか。常識だったのか。
何だか笑いそうになっていた。理由は分からずに。
「城主居ないしお前ここに居る必要ねぇしさっさと逃げた方が良いぞ?
明日にゃここは戦場だ。一方的なものだけどな。」
そう、またここが荒らされる。何も無いのに、何も有りゃしないのに。
もう奪える物も無いだろうに。
運も無いのかこの國は
もう笑うしか出来なかった。彼は大きな声で笑い始めた。
少女から見たらさぞ狂っているように見えるであろう姿。怯えた目で彼を見ていた。
少女には悪いとナキはほんの少しだけ悪いと感じながらも、それでも彼は暫く笑い続けた。無理やりと言っていいほど延々と。
ひとしきり笑い終わった後、彼の口から声が搾り出されるように吐き出された。
「冗談じゃねぇよ。」
