駆け抜けよ

「・・・・今はどうぞお帰りを・・・・城主様には私からお伝えしておきますので」


翁が巨漢を帰るように促すが、巨漢はゲラゲラ笑った。大きな声で


「本当かぁ?もしかして噂通り此処にゃいねぇんじゃねぇのぉ?城主サマがな」


下卑た笑い声に腹立つよりも何よりも、巨漢の発言をナキは疑問に思った。

城主に何故そこまで事の重きを置くのか

それは周りの者、皆に言えたことだ。


「居られますよ?ただ、少々面倒臭がりな御方でして・・・・政(まつりごと)や会合、’神器’での鍛錬等に興味が無いらしいのです」


’神器’


どくん、と心の蔵が脈打ったのを感じた。

この世界は神器というモノがある。
それは選ばれたモノにしか与えられないトクベツを表したもの。

今の世、城主は当然ソレを持ち

城主の下に就くモノー武将と言っておこうーも持っているモノがいる。

簡単に言えば


ソレは力の象徴である。