「何…言ってるの父さん」
自然と、声は震えているのに思考は冷静になっていた気がする。
明日に迫った帰還、今朝美緒の泣き喚く声で目を覚ました。
リビングに行けばいつもより静かな空間で、いつも美緒の側に居るはずのお姉ちゃんの姿が見当たらなかった。
何事かと父さんに訊ねれば、思いもよらぬ返事が返ってきた。
「母さんは、お姉ちゃんを連れて出て行った。…離婚したんだ」
「うそ、だ…美緒は、美緒はどうするの…お姉ちゃんの居ない美緒は、誰に縋って一日を過ごすの…」
「…はす?」
泣きじゃくる美緒の耳に、俺の言葉も父さんの言葉も入らない。
だからなのか、口は止まらなかった。
「明日、もう帰らなきゃ行けなくて」
「…そんな」
「父さん…」
「美緒を、これ以上不幸にしたくない」
やっぱり親子なんだと思った。
涙を流す姿はまるでそっくりで、何も言えなくなってしまう。
帰れなくなってしまう。
もう、心が揺らいでいる。
自然と、声は震えているのに思考は冷静になっていた気がする。
明日に迫った帰還、今朝美緒の泣き喚く声で目を覚ました。
リビングに行けばいつもより静かな空間で、いつも美緒の側に居るはずのお姉ちゃんの姿が見当たらなかった。
何事かと父さんに訊ねれば、思いもよらぬ返事が返ってきた。
「母さんは、お姉ちゃんを連れて出て行った。…離婚したんだ」
「うそ、だ…美緒は、美緒はどうするの…お姉ちゃんの居ない美緒は、誰に縋って一日を過ごすの…」
「…はす?」
泣きじゃくる美緒の耳に、俺の言葉も父さんの言葉も入らない。
だからなのか、口は止まらなかった。
「明日、もう帰らなきゃ行けなくて」
「…そんな」
「父さん…」
「美緒を、これ以上不幸にしたくない」
やっぱり親子なんだと思った。
涙を流す姿はまるでそっくりで、何も言えなくなってしまう。
帰れなくなってしまう。
もう、心が揺らいでいる。
