「翼は一体何者な の?」

「オレ?んと、猫兼人間?」

「そんな事あり得ないでしょ」

「や、だからさ、んー…簡単に言うと、オレ等は突然変異で生まれた動物なんだよ」

翼の言いたい事は
何となく分かったが、
それでもどうも疑ってしまう。
突然変異でも
人間の姿になるネコなんて
聞いた事ない。

「オレ等は突然変異中の
突然変異で生まれるんだ。
親が人間と接触してたり
すると何万分の一の確率で
生まれるんだって。
そんで生まれたオレ等は
親からも周り からも
記憶を抹消して
そういう奴等しか住まない
別の世界で育つんだ」

「じゃあどうしてここに…?」

「オレ等には
『分かれ時』
ってぇのが あってさ。
人間にも動物にも
生まれなかった
オレ等が最近では自分の将来を
決めれる様になったんだ。
大抵はこうやって
人間界に来て人間になろうと
する奴も居る。
ま、オレは模 索中だけどな!」

人間にも動物にも、またはそのままで 生きる事も出来る、そういったいわば 人生の進路を決めるのが『分かれ時』 という奴なのだそうだ。 但し、人間界滞在期間は僅か三ヶ月で あり、人間界で学んだ事を持ち帰る事 が前提で来るそうだ。

翼はまだ決めてないそうだが、誰か の為に動くというより自分の為に動き たい様だ。 まぁそれも一つの道だろうな、と思い つつ目の前の翼の頭をふわふわと撫 でた。 翼は嬉しそうに目を細めた。