私達だけの図書館


「蒼ちゃん?」
「………」

はぁ、と遠野君はため息をついた。
でもそれは、全然迷惑そうでも呆れでもなくて。

ーーーむしろ、優しい声で、

「いらっしゃい、蒼ちゃん」
「………お邪魔します」

渋々といった感じだけど、蒼ちゃんが中に入って来てくれた。

「ほらほらー、俺の部屋2階だから」
「白戸は?」
「もー来てる」

ドキッ
『白戸君』というワードに思わず反応してしまった。
火曜日じゃない日に、学校以外で会うのは勿論初めて。

私は自分の心が浮かれるのを感じながら、遠野君につづいていく。