私達だけの図書館


「終ー、こっちこっち」
「………悪い」

ひょこっと教室の隅の方から手が出て来たかと思うと、白戸君は周りの女子に一言言ってそこに歩き出す。

「何にするのか決めた?」
「まだ」
「遅っ⁉︎」
「五月蝿い、正人」

そんな会話が繰り返される。
遠野正人君………。この学年では白戸君の次に人気があるのではないかと言われるくらいの男の子。

白戸君より、というか普通の男子より話しやすいし気さくで優しいんだと誰かが言っていたのを聞いたような………?