「俺はもう読んだから。相田がこの本早く見たいなら良いよ」
思わぬ嬉しい申し出に頬は1人でに緩まる。
「ありがとう!あっ、じゃあいつかえせば………」
少し遠慮がちに受け取り、日付を確認する。
(ばれたわけじゃなさそう………?)
「いつでも」
「学校?図書館?」
「ここ」
「あ、じゃあ来週………来ます。白戸君も来る?」
「来る」
「分かった!また明日」
ああ、と言って白戸君はくるっとUターン。
夢みたい………と頬をつねってみる。
「痛………」
手にある本だけが、
私を現実に戻してくれたーーーーーー。