向日葵の事情


急に立ち止まった俺に彩都が声を掛ける

「って、あの子有馬ちゃんじゃねー?」

みんな俺の目線を追って有馬の存在に気づいたようだ


有馬に1人の男が近づいたのが見えた

あれはナンパか?

って、あいつすげぇ下心見え見えなのに
ついて行こうとしてねぇか?


ダメだろ…自分大事にしろよ…!


俺は走り出した



「いいよ?お兄さ…ん!?」

ぎゅ…


「有馬、ダメ」

「…晴哉?」

有馬は後ろから抱きついた俺の方をゆっくりと振り返る

「お兄さん、悪いけどこいつは渡せないから」

「…ちっ、男持ちかよ」

下心を声に出すなよ


男は逃げるように去った

どうせ別の女探すんだろな


「…晴哉。関わるなっつったでしょ」

我が儘お嬢様は御立腹のようだ