喉の乾きで目を覚ます。
私の隣で彼は眠っていた。
愛しさでつい髪に触れてしまう。
比呂くんは顔をしかめて寝返りを打ってしまった。

「比呂く…」
「茉莉…」
伸ばしていた手が固まる。
今…確かに…
「茉…莉…」
細く涙を流しながら彼女の名を呼ぶ。
それは私の心を切り裂くには十分だった。

やっぱり比呂くんは…
まだ…茉莉のことを…

「ー…っ!」
もう一緒の場所にはいられない。
服を着てバッグを掴み私は部屋を飛び出した。