私は走った。


早く会いたかった。
想いを伝えたかった。


だから懸命に走る。


「ちょっと危ないよ」


途中で誰かに声を掛けられる。


「あ、すいません……!」


軽く会釈して、また即座に走り出す。


もう頭の中は聖の事しかなかった。


聖の家は地図で見る限り私の家と10分も離れていなかった。


――私の知っている街が見えてくる。


……もうすぐだ。