「明香里~、俺の今日の弁当なんだと思う?」



「また弁当の話~? まだ1時間目なのに」



歴史担当の先生が、黙々と黒板にチョークを動かしている。



みんな聞いているふりして、絶対聞いてないと思う。



現に私だってその1人だ。



「えー、お腹空いたんだって」



空腹の持ち主である聖(せい)は、無邪気に私に話しかける。



私はその笑顔を見るたびに、ため息をそっと漏らす。



なんだか無性にイライラしてくる。



聖、彼女がいるくせに...。



私となんかと話してていいの?



そう問いかけたくなる。