「おはようー」



あちこちでそんな声が聞こえてくる。



徐々に教室に近づいてきた。



なんて謝ろう……。



さっきからそればっかり考えてる。



もし話しかけても返事してくれなかったらどうしよう。



不安が募る一方だ。。



教室までやってきて、ドアの前に立つ。



深い深呼吸をした。



こうすると少しでも気分が落ち着くんだ。



よし、頑張ろう。



心の中で決意を固める。



私が教室に1歩足を踏み出そうとした時だった。



「明香里、おはよう」



後ろから声がした。



紛れもなく聖だ。



急に鼓動が早まってくる。



どうしよう。何て言われるか分からなくて、後ろを振り向けない。



「明香里?」



私がこっちを見ないから不思議に思ったんだろう。



不安そうな声でそう呼んでくる。



もう、いつまでも逃げてたらいけないんだ。



頑張れ、自分。



そう自分に言い聞かせてからゆっくりと、聖の方を向いた。