「いってきます!」



そうやって家を出たのは午前8時15分のこと。




「やばい、走らなきゃ間に合わない!」






時計を見ながら一人でそうぶつぶつ呟く私は近所でも、変人として有名だった。



もちろんそれは、デマである。




ああ、走るの嫌だなあ。

走ってしまってはせっかく整えた髪も制服も台無しだ。



そんな私に追い打ちをかけるように





「めい!なにぼーっとしてんの!もう遅刻になるよ?!」


お母さんが窓から顔を出して言った。





「もー!わかってるよ!」



べーっと舌をお母さんに出して走り出した。