その後、アヤノの必死な叫びが通じたのかなんなのか私は携帯をパーカーのポケットへしまった。
「はぁ…理解して頂けて良かったです……………。」
アヤノは、ぐったりとして顔に滴っている汗を拭った。
「…で、あなたは“猫神”って言う奴なの?」
「あ、はい。って言っても猫神の一族から追放されちゃったんですけどねー、ははは…。」
「え?そうなの?どうして?」
興味が出てきたのでアヤノに問う。
「あー…えと、なんか僕が他の神達に猫神一族の情報を売っているとか何とかって言う噂が流れちゃって。僕はそんな事やってないって反論したんですけど、一族の皆は完全に疑っていまして…。」
まあ、そんなこんなで追放されちゃいました〜、と笑って言った。
「……馬鹿じゃないの。なんで、根も葉もない噂しんじてんのよ。」
私は、怒りを覚えた。
なんなの?
そんな根も葉もない噂信じて、仲間を裏切って馬鹿じゃないの。
コイツもコイツよ。
なんで、流れされちゃってんのよ。
もっと反論しなさいよ。
ふつふつと怒りが湧き上がってくる。
「……僕の話しを、こんなに真剣に聞いてくれる人。初めて見ました。僕は、…いつも出来るだけ笑うようにしています。なので、僕は軽い奴だとずっと思われてたみたいで真剣な話しをちゃんと聞いた試しがないんです…。」
アヤノは、悲しそうに笑った。
「だから、今凄く……嬉しいんです。」
儚気に微笑むその姿に
私は、釘付けになってしまった。
