♣︎まとめ

「ええと、ラズアンは力に狂い、人類を今、滅ぼそうとしている。

魔物を使って。

そして、ファティマ様はラズアンを阻止するため、私の中に入り込み、私を通して人類を見守るのですね?」

「じゃあこの図書館空間丸ごとあなたの魂に埋め込んでおきましょう。」

「わかりました。ファティマ様」

「あ、あとライと貴方を出会わせたのは貴方に必要と思ったからだから」

「そうなんですか」

「冷静なのね」

ファティマはニコリ、と微笑みかけた。

「私はあなたと半分一体化し、残りの半分で色々やっておくわね」

「はい」

アリスは、自分の魂の一角に他の人の魂が宿るかと思うと、不思議な気持ちになった。


「ふぅ......では埋め込む儀式をするわ」

ファティマは、紅茶を一口飲み、目を閉じた。

「暇でしょう?雑談でもしましょう」

アリスは、今更何を話すのか、と訝しんだ。

「物騒な世ね。
貴族階級の者のみが戦わず、結果を待つのみ。
あなたのような平民は戦わせるために、学校に行かされてる。

私が助けたかった世は、こんなものかしら

下のモノは蹂躙されるのを受け入れねばならない。

貴族は腐った綻び。

たまに、この世界を消したくなるの」

思いがけない吐露に、アリスは驚いていた。

万能の少女が一思いするだけで、世界など崩壊してしまうのか。

「あ、儀式が終わったわ。

今日の出来事は、全て消しておく。
祭りの前日に、時を戻しておく。

あなたが目覚めるとき、あなたはどう未来を変えるのか、じっくり見ているわ。」


「はい、さようなら」

悲惨な真実に心が鈍麻しつつも、アリスはファティマに手を振った。