それから月日が経ち
あたしは店長と付き合い
仕事は休業という形をとった。



家にいるとどうしても翔といた日々を思い出してしまうような気がして
店長の家で過ごした。

友達のいないあたしは店長とのデート以外でどこかに出かけることもほとんどなく、
週に数回は仕事帰りのマナミや、黒服の池田が店長の家に遊びに来てくれた。



その中であたしと店長で、マナミと池田を応援したりしてからかっては呑んだくれて
そんな毎日が平凡で楽しかった。


あの店からは一旦離れているけど、
あたしたち四人は相変わらずだった。

ただ、三人とも仕事の話を一切あたしの前ではしなかった。
あたしに気を遣ってることは分かってた。

歌舞伎町に未練がないといえば嘘になる。






歌舞伎町から離れて店長たちといることで翔との日々の記憶がだんだん薄れていった。


あの恋は本気だったけど
このままこの日々が続けば完全に忘れられるような気さえしてた。






恋って、儚い。

あんなにも好きで、
翔があたしの全てで、
翔が中心で回ってたはずなのに

いつかは心から消えてくんだ。



何もなかったみたいに
翔との数ヶ月が嘘のように

記憶は薄れてくんだ。






きっと翔はもうとっくにあたしのことなんて忘れたんだろうな。






想いさえ伝えられずに終わった恋。



相手が悪かったね。

あんたみたいなやつを好きになったあたしが悪かったね。