「え?なんで泣いてるの?」


翔に抱かれながら我慢してた涙が止まらなくなった。


「痛かった?
ごめん、美華ちゃん…」

翔が優しく抱きしめる。





だけど…


「大丈夫。なんでもない」

「美華、なんか悩んでるよね?」

「なんも」

「嘘つくな。なんでも言えよ」


言えないから苦しいんだよ。

あたしを苦しめてるのは、あんただよ。






「仕事もう行きたくない

って言ったら、翔は幻滅する?」



翔はあたしの顔をじっと見つめて何も答えない。



「なんかさ、もうだるくなってきちゃった。
今月売り上げ全然だしさ。」



あたしは笑って誤魔化した。


「美華はそんな弱音吐かないよ、嘘でも」


翔はあたしを強いと思ってるから。


あたしはあんたが思うほど強くない。
全然特別なんかじゃないのに。