次の日、
あたしは少しドキドキしながら出勤した。


でもそんなあたしの緊張とは裏腹に
店長はいつもどおり。

まるで何もなかったかのように。




変わったのは、

更衣室。




「何これ…」


一緒に出勤してたマナミも言葉を失うほど




あたしのドレスが全部破られていた。






ロッカーを開けるなり溢れ出す何枚かわからないほどの大量の紙切れ。

そこに書かれてるのは「風紀」の二文字。




「古典的だなー」

あたしはその紙を眺めて更衣室にいるキャストを見渡した。



「誰?これ。」

マイさんも駆け寄って溢れる紙切れをかき集めた。



静まり返る更衣室。

冷たい視線があたしに集中する。



「マイさん、大丈夫ですよ」

片付けるマイさんにあたしは言った。


「嫉妬でしょ?
美華を越せないからってダサいよ。
謝りなさいよ、誰なの?」

マイさんが呼びかけても誰一人として他人のふりをしてる。


「店長に相談しよ」

「そうだよ、ちゃんと話し合おうよ」


マイさんの提案にマナミも同意する。




「いいよ、あたしが気にしなければいいだけ。」

「でも、ドレスも…」

「今日は休むよ」

「あたしの貸すよ?」

マイさんが自分のロッカーに手を伸ばす。

「マイさん、大丈夫です。
ありがとうございます。」


あたしはマイさんにそう言って更衣室を出た。



マナミはそんなあたしを心配して、「また休むの?」とついてきた。