二年前。


18歳の春、スカウトに連れられ初めてここに来た時に店長に言った言葉。




「あたし絶対No.1になる」




「神崎美華の名前を全国に知ってもらいたい」




ここ歌舞伎町で、
あたしは誓った。


あの頃のあたしは、お母さんにあたしの名前を知ってほしかった。

東京にいると聞いた、お母さんに


あたしの存在を知ってほしかった。












「覚えてるよ」

「お前からこの仕事をとったらただの翔の女になるんだぞ」

「ここを辞めることはないし、
No.も落とさない。
でも翔も手離したくない」

「無理だ、翔はやめろ」




こういうとこ頑固な店長。



「なんで!?
別に売り上げ落とさないんだから翔とのことはあたしの勝手じゃん。」


あたしはイライラしてタバコに火をつけようとした


その時だった



タバコを持つ手を店長に握られ、


口に当たったのは店長の唇。




「……へ!?」