その日、あたしは初めてマナミが言ってた掲示板を見た。




あたしの記事ではなく、翔の記事。




"翔アフター付き合ってくれなくなった。神崎美華と同棲してるから?"

"翔のエースは神崎美華"
※エース・・・そのホストの客の中で一番お金を使ってくれる人のこと

"翔の本営に騙される神崎美華"

"神崎美華って枕なんでしょ?"

"枕でNo. 1になったよーなもん"



翔のスレッドなのにあたしのことばっかりだ。





…やっぱり…翔がNo. 1じゃなくなったのはあたしのせいなんだ…。








「みーかっ」

営業前の更衣室でマジマジと携帯を見るあたしにマナミが話しかけてきた。



「何見てんの?」

「翔のスレ。
あたしのことばっか。」

「美華も掲示板とか見るようになったんだ!」


マナミは相変わらずのテンションであたしを笑う。


「つーかさー。翔のことより自分のこと気にしなよ!」

そう言ったマナミの視線の先は売上表。


「美華、今日明日でマイさん追い越さないと、あんたまでNo. 1手放すことになるよ」


マナミは本気で心配してくれていた。




あたしにはこれしかないことも、
No. 1にこれほどこだわる理由も知ってるから。




あたしがNo. 1にこだわる理由…











あたしはタバコに火をつけた。




たかがキャバ嬢。

だけど、神崎美華の名前が全国に知れ渡ってほしかった。