家に帰ってからも
あたしと翔に会話はなかった。


何も言わずキスして、
無言のままベッドで重なった。





あたしに覆いかぶさる翔の顔は

いつもに増して寂しそうに見える。





あたしはどうしようもなく愛しくなって
きつく抱きしめた。




「悔しいなら悔しいって言えばいいじゃん!
バカ!」


泣きたいのは翔のはずなのに、
泣いたのはあたしだった。



自分でも驚いた。

人のために泣いたことなんて初めてだったから。



「お前が泣くなよ」


翔は泣かなかった。

笑うだけだった。








どうして。

どうして翔はいつもあたしに本当の姿を隠すの?




あたしを笑わせるくせに、
喜びや嬉しいことは分けてくれるのに


悲しいことや辛いことは何も分けてくれない。






そんな寂しそうな顔するなら
泣けばいい。

あたしにも少し背負わせてよ、あんたの痛み。






強がらないでよ。